クビアカツヤカミキリという昆虫をご存じでしょうか。
カミキリ虫の仲間ですが、桜、ウメ、モモなどの木に幼虫が侵入すると木を枯らしてしまうほどの被害を与える害虫です。
クビアカツヤカミキリは繁殖能力が高く、成虫の雌が木に産み付ける卵の数はカミキリムシの仲間で群を抜いて多いそうです。
そして、卵からかえった大量の幼虫に幹の内部を食べられ、ついには木が枯れてしまう、あるいは伐採を余儀なくされる状況に至ります。
桜への被害が拡大していることは、染井よしの町会としても非常に危惧しております。
そこで、皆さんにもあらためてクビアカツヤカミキリの被害・駆除について知っていただくとともに、駒込染井とは切っても切れない桜の保全にも注意を向けていただきたいと思い、いつもの「かいらんばん」とは趣向を変えて、お届けします。
クビアカツヤカミキリは、被害・影響力の大きさから、2018年に特定外来生物に指定されました。
この指定により、飼育や運搬などが禁止されており、どこかでクビアカツヤカミキリの成虫を見つけて持ち帰り、虫かこで飼育すると、たとえ悪意がなくても外来生物法違反となってしまいます。
違反の罰則は非常に重く、個人が許可なく飼養等をした場合は、 1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。
それだけクビアカツヤカミキリの被害拡大を警戒しているということかと思います。
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クビアカツヤカミキリの被害・駆除・生態については以下が参考になります。
(今回の「かいらんばん」でも以下の資料を元にしています。)
最も基本となる情報
森林総合研究所『クビアカツヤカミキリの防除法』
https://www.ffpri.go.jp/pubs/chukiseika/5th-chuukiseika12.html
東京近辺の状況については・・・
東京都環境局
「クビアカツヤカミキリの被害が発生・拡大しています!」
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/400100a20191204115758336
「クビアカツヤカミキリ防除の手引(2025年3月)」
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/2025-06-12-150956-161
ポスター
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/tel-change_kubiaka_poster
上記リンクにはかなりの分量の説明があり、さっと目を通すだけでも大変ですが、是非ご一読ください。
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先日、豊島区に確認したところ、豊島区内ではまだクビアカツヤカミキリは確認されていないそうですが、文京区では成虫が確認されています。
現時点では、近隣からの侵入による被害拡大を防ぐことが最重要事項となります。
「クビアカツヤカミキリの被害が発生・拡大しています!」で東京都が注意喚起しているように、何よりも大切なことは、「早期発見・早期駆除」。
ということで、ますはここに焦点を当て、我々にできることをやっていきたいと思います。
その1
もしもどこかでクビアカツヤカミキリを見つけたら、逃がさずにその場で捕殺、が基本とのことです。
そして、見つけた地域の区市町村(環境担当窓口)か、東京都環境局自然環境部計画課(03-5388-3506)に連絡してください。
その2
いつの間にかクビアカツヤカミキリが桜の木に侵入しているかもしれません。
そのため、侵入痕跡をチェックします。
チェックのポイントは「木の幹から排出されるフラスの確認」です。
クビアカツヤカミキリが侵入した木からは「フラス」と呼ばれる木くずのようなものが排出されます。
フラスは、木の内部にいる幼虫が排出する糞と木くずが混ざったもので、木の根元から人の目の高さくらいまでの間に見られるそうです。
幹に注意して、木の周りを一周してフラスの有無を調べます。
フラスの写真は
森林総合研究所『クビアカツヤカミキリの防除法』の4ページ、6ページ
東京都環境局「クビアカツヤカミキリ防除の手引(2025年3月)」の20ページ、22ページ
などを参照ください。
時期的には、5月から9月にフラスの排出量が増え、とくに晩夏にはより多くの排出が認められることから、まさに今の時期が見回りには適した時期のようです。
時にはじっくり木を観察して、もし桜の木に異変を見つけたら、豊島区や町会にお知らせください。
豊島区の連絡先:環境政策課 03-3981-1293
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桜が衰える原因は、クビアカツヤカミキリのような害虫だけではありません。
ベッコウタケ・コフキタケのようなキノコの繁殖、テング巣病など菌類、ウィルス感染でも枯れてしまいます。
我々の身近なところでも老朽を感じる桜が多数ありますが、害虫や菌類の侵入を防いだり、手入れをすることで木の活力を維持させることができます。
毎年桜の花見を楽しめる素晴らしい環境を持ち続けるためにも、我々でできることに目を向けて、皆さんとも情報共有しながら、桜の保全につなげていきたいと考えていますのでご協力をよろしくお願いいたします。
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(2025年9月4日発行 町会メルマガ「かいらんばん」 より)